2013年10月2日水曜日

Japanese A:Part1「ロミオとジュリエット」第3幕のディスカッションテーマ

 Grade11の最初の課題作品「ロミオとジュリエット」も
第3幕まで終わり、3回目のディスカッションを今度の金曜日に行います。

 生徒が司会をして行う大きなディスカッションテーマは

●何故、ロミオとジュリエットはロミオが追放される時に2人で逃げる、あるいは
 事実を両親に打ち明けるなどの行動を取らなかったのか。
●ジュリエットの母や乳母の行動の意味や意図

このテーマはどちらもIBが規定しているディスカッションのテーマ

●In what ways do time and place matter to this work?
●What aspects of technique are interesting in the work?

を盛り込みやすいのではないかと思います。

 またそれ以外の小さなディスカッションテーマは

●ロレンス神父は何故、ロミオとジュリエットに協力的なのか?
●P109「調子を合わせる」と言うティボルトの言葉がマキューシオを
 怒らせたのは何故か?
●従兄弟であるティボルトを殺したロミオをジュリエットは恨んでいないのか?
●マキューシオ、ベンヴォーリオ、ティボルト達の役割
●何故、キャピュレットは結婚を断るジュリエットに対して激昂したのか?

 このように日時や時間を決めてディスカッションをする事も多いですが
授業中に生徒達と議論になることもあります。
今日はディスカッションテーマを決めている時に
「P115に『怒り狂って戻ってきた』との記述があるが
何故、ティボルトはそんな状態だったのか。
マキューシオを殺して立ち去った彼が
『怒り狂って戻ってくる」ことは状況的におかしいのではないか」
と言う事について議論になりました。
 このことについては授業中に

●ティボルトがロミオを殺そうと待ち構えている状況で
 マキューシオと会話を交わすのは難しいから
 この場面を盛り上げるために一旦ティボルトを舞台上から
 はけさせた。しかし彼が殺される場面は絶対に必要なので
 戻らせた。
●明文化はされていないが、マキューシオを殺した後、
 友人に無理矢理その場を離れさせられるなどの
 ティボルトが「怒り狂って」いてもおかしくない舞台演出が
 されているのではないか

などと言う結論になっていたので、私はまた同じような結論になるのだろうと
思っていました。

 しかし生徒の一人が「マキューシオを殺して反省したり、悲しんでいたり
狼狽しているティボルトを殺したらロミオの行為の正当性が失われるから
ティボルトはマキューシオを殺した後でも怒りは治まらずロミオを殺そうとする
必要があったのではないか」と発言をしました。
 それについて残りの生徒は全員納得をして、この議論は終わったのですが
同じテーマでも前者の答えは舞台演出上の答え、
今日の答えはシェークスピアが物語をどのような意図で創作したのかという
根幹的なものだと思います。
 同じ作品、表現でも見る角度を変えると全く異なった答えを生徒たちは見出します。
 新しいLanguage A:Literatureのカリキュラムはディスカッションが重視されていますが
生徒たちの姿を見ていると、なるほど・・・と納得させられます。

 金曜日のディスカッションも実りあるものになるように、
しっかりと自分の意見をまとめてきて下さい。

2013年9月26日木曜日

Grade9&10:「夢見る力」のFinal Project

Grade9&10は今、映画監督の小栗康平が書いた「夢見る力」を学んでいます。
実写映画とアニメーションの特徴や長所、欠点を実写映画の監督である筆者が
書いている点で、非常に興味深い評論文です。

この作品の最終評価課題はグループプレゼンテーションです。
2つのテーマの中から話し合って発表をしてもらいます。

●テーマ①:「夢見る力」で書かれている宮崎アニメの特徴、長所、短所は「紅の豚」
      以降も見られるのか
      →「夢見る力」で書かれている宮崎アニメの特徴、長所、短所は
       正しいのか検証すること
      →もし「夢見る力」で書かれている宮崎アニメの特徴、長所、短所が
       見られないとすると、その変化にはどのような理由が考えられるか
      (技術の進歩など)
 ●テーマ②:「夢見る力」で書かれている「実写」「アニメ」の特徴、長所、
       短所は最近(23年以内)CG技術を用いた映画にも見られるのか。
      →選んだ最近の映画を「実写」や「アニメ」の特徴、長所、短所と比較
       し、どちらに近いのか検証すること

      →同様の特徴、長所、短所が見られた場合、見られなかった場合の理由を
       検証すること

どのような発表になるのか、楽しみにしています。


2013年9月23日月曜日

Japanese A:Part1「ロミオとジュリエット」のディスカッションテーマについて

Japanese Aクラスの今回のディスカッションテーマは以下の通りです。

 ●どうしてマキューシオは大公の甥なのに、こんなに粗暴で下品なのか?
 ●現代人にとってロミオとジュリエットの愛の告白は比喩ばかりで分かり辛いが
  何故このような言葉を使ったのか?
 ●愛の告白を思いがけずロミオに盗み聞きされたジュリエットが
  自分は本来、こんな女性ではないと言い訳するのは何故か?

また、生徒が担当してするディスカッションのテーマは
 ●何故、結婚までの時間がこんなにも早いのか。
  また、どうして結婚式のシーンが無いのか?
 ●何故、大人達は暴走する若者を止められないのか?
 ●乳母がジュリエットの使いとしてロミオにあった時、
  どうして冒頭の場面のような乱闘にならなかったのか?


となります。それぞれ、次回のクラスまでに自分なりの答えを考えてきましょう。

2013年9月17日火曜日

IB Diploma: Japanese A-Part1「ロミオとジュリエット」について

現在、Japanese A Class(Grade11)の生徒達は
Book Listの中から最初の作品である「ロミオとジュリエット」について学んでいます。












ロマンティックコメディとしてあまりにも有名なこの作品ですが
生徒達の最初の感想は、物凄く言い辛そうに
「・・・・先生、この話ってすごく下品じゃない!?」でした。

・・・・そう、教師である私も2年前に初めて読んだ時の感想は同じものでした。

高尚なイメージのあるシェークスピアですが、何故部分的に非常に下品になるのか、
それはシェークスピアを学ぶ生徒達に毎年、最初にする質問です。

今年も、もちろん聞いてみました。
何人かの生徒は頑張って自分の意見を発表してくれましたが、
多くは困った顔をして下を向いたり、「何でか全く分からん」との返事でした。

シェークスピアがその答えを書き残していない以上、彼が何を意図して下品な場面を
作ったのか、推測するしかありません。

エリザベス1世が下品なジョークを好んだからだと言う説もあります。

しかし私は毎年、生徒に1つの答えとして




このDVDのメイキング映像の一部を見せています。









シェークスピアの劇場では非常に貧しく教養の無い下層階級の人々と
教養のある裕福な上流階級の人々が同時に鑑賞を行っていました。
上流階級の知識レベルに芝居の内容を合わせれば、
下層階級の観客には難解なものとなり、
下層階級の人々に合わせれば、下品で教養の無い内容を上流階級の人々は
受け入れないでしょう。
その両方を満足させるために高尚な場面と下品な場面を使い分けたのではないか、と
この映画の監督はメイキング映像の中で語っています。

このディスカッションとインタビューを見ることを通して、生徒達は
戯曲の1つの特徴である「観客を楽しませる工夫」を意識して、作品を読むようになります。
内容を理解するだけではなく、作者の表現意図や工夫を読み取ろうとすることが
この文学クラスにとって非常に大切なことです。

今週は第2幕を終え、第3幕に入っていきます。
生徒達が若い感性で「ロミオとジュリエット」をどのように読み解いていくのか
楽しみにしています。




Grade3の最初のユニットについて

今年度のGrade2&3の最初のユニットは"How We Organise Ourselves"です。
このユニットで学び取って欲しい主要な内容は

"People create organisations to solve problems and support human endeavour and enterprise."

人々は問題解決や、目的達成、困難な事業を支えるために組織を作る

私達の社会では様々な目的で組織やグループが出来ます。
生徒達にとって最初に属することになるのは家族、段々に世界が広がってきて
学校の友人や習い事・・・・大人になっていくにしたがって、彼らの属する社会は
複雑になってきます。
生徒自身が属している社会の仕組みや人間関係などについて
学び取ってもらいたいと思っています。

さて、授業の進め方ですが
私のクラスではどのユニットも英語と日本語両方の語彙を理解する学習から始めます。

Step1:語彙調べ→Step2:ユニットの概念を理解する学習

その後、ユニットのテーマに従って選んだ物語や伝記などを読み解いて行ったり、
あるいはプロジェクトをしたりします。

Grade3の生徒達はStep2を終えた後、自分の家族がどのような組織に
属しているのか、週末のHWとしてインタビューしてきてもらいました。


まずはインタビューに相応しい話し方や
言葉の確認。








次にチームで練習









先生を相手に実践練習して、
週末にHWとして家族にインタビュー。











現在はインタビューの結果をポスターにまとめています。












ポスターが完成後はチームでの発表し、
その次に、ユニットのテーマに相応しい偉人の伝記を読んでいく予定にしています。

皆、とても頑張って取り組んでいるので
私も彼らがどのような発表をしてくれるか楽しみにしています。


















2013年9月13日金曜日

IB Diplomaコース:Japanese A- Literature Classについて

IB DiplomaのLanguage Aコースが改変されて3年目になりました。
今年の生徒は新コースで学ぶ2番目の生徒達です。

HISの2013-2015年度のBook Listは以下の通りです。



 ●Part1:翻訳文学
  『ロミオとジュリエット』 シェークスピア
  『分別と多感』      ジェーン・オースティン
  『日の名残り』           カズオ・イシグロ

 ●Part2:分析学習
  『万葉集』
  『枕草子』                清少納言
  『夕鶴』                   木下順二

 ●Part3:文学のジャンル別学習
  『竹取物語』            作者未詳
  『源氏物語』            紫式部
  『雨月物語』           上田秋成
  『舞姫』他               森鷗外

 ●Part4:オプション
  『父の詫び状』    向田邦子
  『春と修羅』      宮沢賢治
  『舟を編む』      三浦しをん

今年度はPart4の『アンの娘リラ』を『舟を編む』に変更しました。
現代のベストセラーをBook Listに加えたのは初めてのことです。
辞書を作るために日本語そのものと向き合うこの作品を学ぶことで
インターナショナルスクール育ちの当校の生徒達が
日本語そのものが持つの美しさ、奥深さに触れ、
彼らの母語を見直す良い機会となればと思っています。


2013年9月10日火曜日

新学期のご挨拶




新学期が始まって、もう2週間が経ちました。
日本の内外から多くの生徒が新入学(再入学)し、
私達のHiroshima International Schoolにとって
変化と活気に満ち溢れた1週間となりました。
生徒達の楽しそうなワクワクした様子を見ていると、
私たち教師も自然と幸せな気持ちになります。

この新しい1年が生徒達にとって楽しく学びの多い1年となるように願っています。

さて、今年度から学校の様子をお知らせするBlogをこのような形で行うことになりました。
生徒たちが今、何を学んでいるか、どのようにプロジェクトに取り組んでいるかなどを
お知らせしていきたいと思っています。

今年度もよろしくお願い致します。

Yoko先生